ニュートレジャーの特徴と勉強法(詳細版)

ニュートレジャーの特徴

中高一貫の進学校の中には、『NEW TREASURE(ニュー・トレジャー)』(Z会出版)を採用している学校があります。ニュートレジャーは、一般の検定教科書よりも難度が高く、検定教科書であれば高校生が学習するような発展的な内容まで中学生でも扱うよう構成されています。きちんとマスターすれば、中学生であっても共通テストレベル、英検2級以上のレベルの問題に対応できるようなハイレベルな教科書です。

ただその一方で、学習進度の早さ、学習する語彙・文法量の膨大さ、対応する参考書や問題集の少なさから、教科書を十分に理解できない生徒さんが多いのも事実です。

英語は、一度わからなくなると、負のスパイラルに陥ります。学校の授業についていけなくなり、何を書いてあるのかが理解できないため自宅での自主学習もままなりません。教科書が読めないことで苦手意識が増し、英語がまったくできなくなる。いわゆる落ちこぼれの原因になってしまいます。日々の学習の積み重ねや継続が肝心な英語学習では、いよいよ大学受験が近づき、一念発起して英語を勉強しようとしても、落ちこぼれたところから遅れを取り返すだけで、実に何倍もの労力と時間がかかります。

ニュートレジャーと検定教科書の違い

ニュートレジャーの勉強法についてお話しするにあたり、まずはニュートレジャーの特徴と検定教科書との比較から述べます。ニュートレジャーはZ会が出版している、中高一貫校での利用を前提とした高度な英語教材で、大学受験に特化した教科書として中上位の進学校の一部で採用されています。

ニュートレジャーと検定教科書との違いは2つあります。1つ目は、文章量・単語量の多さです。単語は中1〜3の検定教科書が約1200語であるのに対し、ニュートレジャーStage1〜3は約3300語と約3倍の量になっています。また本文とは別にRead項目も充実しており、全体の文章量も多くなっています。2つ目は、検定教科書なら高校で学ぶ基本文法が、Stage1からStage3までの約3年間の学習で学びきれるように詰めこまれていること。例えば、過去完了、関係副詞、関係代名詞の非制限用法、話法転換、分詞構文、部分否定、仮定法、強調構文などが組み込まれています。これらの文法事項は、検定教科書を利用している多くの生徒さん(英語初学者)にとっては、中学3年間または高校受験の勉強で基礎文法を完璧に身につけた後のステップとして学んでいくような内容なのです。

検定教科書では学年ごとに使う語彙が決まっており、そこに教科書による違いはほとんどありません。また検定教科書は6年間をかけ、重要な文法を反復しながら学ぶよう構成されています。中学で習ったことをよく飲み込めていなかったり忘れてしまったりしても、高校で再度学ぶことによって頭に覚え込ませることができる作りになっています。

それに対し、ニュートレジャーは検定教科書に比べて初めから無駄がなく、非常に密度の濃い教材です。さらに使われている英文は理系・文系と幅広いテーマを含んでいます。大学入試で頻出されるバリエーション豊富な論説文に対応するためのテーマ別弱点補強や志望大学の頻出分野対策もでき、使い方によっては最強の受験教材といえるでしょう。

ニュートレジャーで学ぶ際の問題点

ただし、文章・語彙量の多さに予習が追いつかず、英文を十分に理解しないまま行き当たりばったりに学校の授業を受けている生徒さんが多いのも事実です。教科書ガイドのたぐいは無く、わからない文法・構文は自主的に調べていくことが要求された結果、中学受験を乗り越えた自前の暗記力に頼り、ただの英文の丸暗記・付属の文法問題集とWork Bookの丸暗記で定期試験をやり過ごす。そのような勉強法に陥った生徒さんは、いざ実戦問題を前にすると、思考力不足のためにまるで問題が解けないといったことがあります。難関大学受験者のための密度の濃い教材である半面、こうして矛盾した勉強法に走り、教材の消化不良を起こしている生徒さんがいるのです。

そして、先生側の教え方にも高いスキルが求められます。ニュートレジャーはそもそも難関大学受験を見据える一部の進学校向けにつくられた教材であり、難しい単語を生徒のレベルに合わせて適宜変換する、重要文法を見定め繰り返し演習させるなどの工夫が必要となるため、教える側には難関大学受験指導の知識が必須です。しかし、中高一貫校でニュートレジャーを教えている先生方のなかには中学英語やコミュニケーション英語専門の方もあり、教材をうまく使いこなして生徒の英語力を上げるのを実は苦手としている先生もいらっしゃるようです。

現状では、先生方自身がこの教材の難しさに気づいていないことも多く、教材研究や指導の工夫が足りていないため、結果として落ちこぼれてしまう生徒が多数出ているという報告があります。通り一遍の指導で大量の文章や単語をぶつけられた生徒は及び腰になり、授業でついていけない部分を塾などで埋めようとしても、補習塾のレベルではニュートレジャーに対応できません。また英語専門塾は学校授業を度外視した独自のメソッドで生徒を教えていることが多く、学校成績に結びつきにくいという現状があります。このような状況により、ニュートレジャーで英語に苦手意識を持ってしまった生徒は、高校に上がったときには完全に「英語嫌い」となってしまいます。大学受験を思えば、早いうちにこの流れを変えなければなりません。

ニュートレジャーの活用法

学校のカリキュラム上、英語に割ける時間は限られているので、学校の授業だけでニュートレジャーをマスターするのは難しいでしょう。リープエンジンでは、ニュートレジャーのマスターのカギは、各生徒さんの学習状況を見極めた上での適切な解説と、日々の学習の具体的な指示、そして段階的な「演習」にあると考えています。

まずは、ニュートレジャーはハイレベルな教材で大学受験に特化した優れた教科書である一方、中学校3年間のあいだに自力で会得するには難しいほどの情報量が詰め込まれていること。そして、これが難関大学進学を考える者に要求されるレベルだということ。この2つを覚悟しておくことが必要です。

その上で、教科書を十分に使いこなすには、これまで多くの中高一貫校の生徒さん方を指導してきた講師の見地による、適切なレベルの演習を積んでいくことが重要となってきます。ときには講師から外部検定を受けるよう指示されることがあるでしょう。今の英語力を確認できると同時に、普段の努力の成果を知ることで、今おこなっている勉強法への自信や、さらなる学習へのやる気が満ちてくることでしょう。ニュートレジャーをうまく使い、日々の学習に相乗効果をもたらすことは十分に可能です。数多くの演習を基本軸に、中高一貫校生専門塾だからできる、学校の定期テスト~大学受験対策までを意識した指導をリープエンジンでは行っています。