夏に向けてどんどん太陽が眩しくなり、暑くなってきた……。と思ったら空気が湿りけを帯び、少々肌寒さも覚える曇天が増えてそろそろ梅雨の気配……。と思ったら、6月3日には北海道音更町で90年ぶりの最高気温更新(37.8度)を観測!
日本の天候は今年も、乱高下しながら四季の流れに従ってゆるやかに時を進めています。
リープエンジンでは、常に上昇曲線をイメージして勉強に日々はげむことを説いていますが、実際のところ、数学の法則のように常に均一な上昇曲線を描くことは至難と言ってよいでしょう。これは勉強でも、社会人の営業成績でも、アスリートの競技記録でも同じことです。人間も自然の一部ですから、杓子定規にはいかないのです。
さて。世界のトップを目指して日々最大の努力を続ける若いアスリートの記録の伸び方を表す図は、次のどれだと思いますか?
1 最初が急で、上にいくほど鈍っていく上昇曲線
2 最初がゆるやかで、だんだん急になる上昇曲線
3 階段状
答えは3。どんなに勤勉なアスリートにも、足踏みをしてしまう期間が必ずあります。上昇と足踏みを繰り返して、最終的に誰よりも高い地点に到達しているのです。
なぜ足踏みをしてしまうのか? スポーツの世界では「スランプ」と言ったりしますね。
これには、身体の発達と、技能の定着に要する時間とが関係しています。
身体の成長にともなって、体のバランスは刻々と変わっていきます。ミリ感覚でフォームをつくっていく選手にとって、昨日までのやり方が急にうまくいかなくなるといったことがよくおこるのです。
また、さらなる好記録をねらって新しい技術を身につけようとすれば、記録は一時停滞するか、または落ちてしまうことがあります。なぜなら、技術を自分のものにするにはある程度の時間が必要だから。ゆくゆく記録を大きく伸ばすために、一時的な停滞を覚悟して新技術修得に取り組むのです。
まっすぐな努力だけでなくめげない心や忍耐力を備えて初めて、選手はトップアスリートに上りつめることができます。
人間の脳は、他の器官よりはダイレクトに反応できるように出来ています。ですから、上のアスリートの記録ほどはっきりと足踏み期間が生じてしまうわけではありません。でも脳だって身体の一部であることに変わりはなく、心の状態とも大きく関係するためさまざまな要因で働きが強まったり鈍ったりします。
みなさんも、一生懸命勉強していても「スランプ」に陥ることがきっとあると思います。そんなときには、自分を必要以上に責めたり諦めたりせず、「今は脳が次のステップに進もうとしている時なんだ、知識の定着期なんだ」と思って楽に構える心をもってください。
大切なのは、自分の努力と、先生の指導を信じること。塾の先生は選手にとってのコーチと同じ。選手の状態を常に把握し、選手の迷いをとりのぞきながら、適切なコーチングでしっかりと階段をのぼらせるのがコーチの役目です。
塾の先生方も、諸君の状態を常に見ています。顔を見れば、諸君がどんな自習時間を過ごしてきたか、どんなつもりで塾に来たかはすぐにわかりますよ。その状態に応じて、その日の指導法を調整しているのです。
ですから諸君もそのつもりで。ぜひ、全力をぶつけてきてください。