新学期。着実に階段を上がっていますか?

塾生諸君、学期開始から3週間が経とうとしていますが、新しい学年での学校生活はいかがですか?
中高一貫校では、3年で区切られた中学校や高校と違いゆったりと時が流れているように感じられがちです。実際はそんなことはないのですが。時の進み方は同じでも、その間にリミットや区切りが設けられているかどうかで過ごし方が多少なりとも変わってくるのが人間です。過ごし方が変われば、時の密度も変わるもの。
例えば、去年まで2年生だった公立中学の生徒は今年、受験生です。彼らの目の前には、中学から高校へ移る過程でジャンプアップの機会があります。ひと飛びに夢に近づけるチャンスですから、モチベーションはかなりのものでしょう。頑張っている人はそれはそれは頑張っているでしょうね。

もちろん、中高一貫校には一貫校ならではの先進的なカリキュラムがあります。6年間で確実に階段を上がれるように、夢へ近づける、またはその夢をより大きなものにできるように作られています。
ただし、夢への階段を上る主体である生徒がそれをどう活用するか。それが実は一番重要なのだということを忘れてはいけません。せっかく階段が用意されていても馬力や方向感覚が欠けていれば、途中で止まってしまうかもしれませんし、脇道に迷いこんでしまうことも大いにありえますからね。

馬力や方向感覚は、学校や親から与えてもらえるのではなく、自分で育てるものです。その育成には「意志」と「ビジョン」を必要とします。「ビジョン」は目標と言い換えてもよいでしょう。これらは食べて寝ていれば自然に得られるというものではありません。そう簡単ではない。ですがそれだけに、年を追うごとに付いていく生徒間の差は、実はこの差であるといっても過言はないのです。
なんとなく言われるまま生活していたら意志やビジョンは絶対に身につきません。どうやって育むか?……ヒントは、「見ること」と「考えること」です。自分の身の回りからクラスメイト、他校の生徒達、年上の人達、大人達の生き様、社会へと視野を広げていきましょう。さまざまなものを興味をもって見ることで、自分が今社会でどういう存在なのか、その社会はどんな社会なのか、なにがよくてなにがいけないのか、……自分が社会で何をしたいのか。少しずつ、少しずつですが、意志や考えが芽生えていくはずです。
この「少しずつ、少しずつ」ができるのが、十代半ばの今なのです。社会は20代に対してはすぐに答えや方針を求めてきます。そこで悔いのない判断ができるかどうかは、十代をいかに過ごし意志やビジョンをどれほど育んできたかにかかっています。

階段を一歩一歩踏みしめて着実に上がっていく皆さんを期待しています。